飛行機から見下ろした、小さな東京
高校では、もう勉強は頑張らない!遊びまくって、また元の私に戻るんだ!
すっごい元気で入学した高校。
本当に何もかもが上手くいかなかった。
まず、入部した軽音楽部で先輩にいじめられた。
クラスメイトとのねちねちした友人関係にも、毎日苦しめられていた。
思春期独特の感情もあいまって、人間不信だった。自分の何もかもが嫌いになって、毎日毎日ベッドで泣いた。知恵袋で同じ境遇の人を探すことが、唯一の心の救い、というくらいには、孤独だった。だって軽音でいじめられてること友達に言ったって、「気にしすぎだよ」ってセリフで一掃されるんだもん。
憂鬱な気持ちで迎えた高校一年の夏休み、私は家族で初めて海外旅行に行くことになった。目的地はヨーロッパ。想像もできないような遠くの世界。
わくわく8割不安2割で出発して15分後、飛行機の窓から見おろした東京の景色。
小さな小さな、狭苦しい場所。私はこれから、ここを一週間離れて遠くの国へ行く。
そう思った瞬間、気持ちがふっと軽くなった。
きゅんとした。
そのときだけ、私はもう何にも縛られてないんだ、いやな人間関係にも、偏差値との闘いにも、何にも。
たった一週間の海外旅行。
この旅行が、私のその先の進路を、大きく変えることになった。